シングルマザーの三兄弟国公立医学部現役合格日記

この春、二人の兄に続いて末っ子の三男が某国立大学医学部に入学。でも一番驚いているのは母親の私。なんでお前たちが現役で医学部に受かるんだ?三人三様のドタバタの医学部受験を振り返って。

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医者の子は医者になるの?

このへんで、母親である私のことを少し・・・


そんなの興味ないかもしれませんが、子どもの受験に多少は関係しますのでお付き合いを


私は首都圏の割に大きめの都市で産婦人科医をしております。
大変狭い世界なので、詳しく書くと「あいつだ、何やってんの?」とばれてしまい、ちょっと恥ずかしいので、少しだけぼかします。


まず、こいつ医者のくせに、だらだらブログなんか書いて、よっぽど暇なのか?
ちゃんと仕事してんの?
というご質問にお答えして


私は今産婦人科のいわゆる第一線を離れて、入院のないクリニックで外来診療だけをしています。週4~5日のいわゆるパートですね。ほかに産業医と言いまして、企業と契約し週半日から月一日(2~3時間)ぐらいで会社を訪問し、従業員の健康管理のアドバイスもやっています。
今は、夏休みを取っていまして、今日も午後から産業医訪問があります。そんなに暇ではありませんが、フツウの産婦人科医に比べると相当楽をしています。


もちろん私も十数年前までは、病院に勤務していましたので、普通に当直や緊急手術の呼び出しもあってかなり大変でした。
子どもをおぶって夜中の病院に駆けつけたり、二重保育、三重保育は当たり前。子どもが高熱でも、入院しても仕事は休めない。
乳幼児を(しかも3人)抱えての綱渡りのような生活で、医師の圧倒的な不足や家庭内のごたごたも重なって体調を崩してしまいました。
よくあるメンタル疾患ですね~


あまり知られていませんが、医師にはメンタルをやられてしまう人がとても多いんですよ
私の周りにもたくさんいます
私が、子ども達に医師になることを積極的には勧めない理由には、これも大きいのです


長期に休職したり、いよいよ悪くて入院したりと色々ありましたが、でもまあ何とか、仕事は続けてきました。精神疾患を抱えた中年女性が、細々でも仕事を続け、一人で子ども達を育てられたのは、医師免許があったからというのも事実です。


だから子どもたちは、母親の激務の様子をあまり覚えていないのかもしれません。
私が最初に入院した時、子ども達は7歳、5歳、3歳でした。
「母さん見てると、医者って楽そうでそれなりに収入になるから」
そう思われてるとしたら、はなはだしい勘違い!
何度も医者の大変さは話してきたつもりですが、それでも全員医学部に行きたいというなんて、あんまり伝わってなかったのかな~


ちょっと余計な話


医者の子どもはどのくらい医者になるかって言うと


ちなみに私の大学の同級生は女子が14人
その頃は女子医学生の比率は1割が普通でした。女で医学部に行くなんて相当変わってるか、女を捨ててると思われた時代です。
今はもっと増えていますね。
子ども達の医学部は、3割後半から多いところは4割が女子学生です。


女子だけの同窓会が時々あるのですが・・・
半分は未婚です。結婚した人も、私も含め約半数は離婚しています。
で子どもがいる中でどのくらいが医学部に行ったかというと
子どもは全部で12~3人いますが、私の知るだけで8人が医学部に行っているか、すでに医者になっています。まだ高校生で、医学部を目指している子も一人か二人いるんじゃないかな。
しかも難関と言われるA大学(つまりはお母さんの母校)に4人も進学していまして、ちょっとびっくり。
男子の方はよくわかりませんが、ここまで高率ではないと思います。
開業医の子弟がそれほど多くない国立大学でもこうなので、私立だともっと増えるのかもしれません。
女医の場合同じ医師と結婚することが多く(まあ半分は離婚してしまうんですが)
両親が医者だと、やはり医学部に進むのが自然な流れになってしまうのか・・・
一家で教員の家庭とか、両親がスポーツ選手とかと同じなのでしょう。


ちなみに私の家は医者とは全く関係ありません。親戚にもどこにも医者はいませんが、私の弟も医者になっています。また、別れた夫は農家の出身で彼の家も医者とは無縁です。


つまりは医者の子どもは医者を目指しやすいが、全く関係ない家庭の子でもたくさん医者にはなる。
という、どうでもいい結論でした。

医学部受けるの??

長男が医学部を受けると言い出したのは、中学3年の頃です。
詳しくは言いませんが、家庭を捨てた彼の父(離婚した夫)も医師でそれに対する反抗心というかライバル心のようなものもあったでしょうか。で、目指したのはA大学。父親の出身校(私の母校でもあります)ですが、残念ながら国立の医学部の中でもかなりの難関校に属します。
「おれ、A大の医学部に行く」
まあ、その頃は小学生が ぼく宇宙飛行士になる とか プロ野球選手になる って程度の将来の夢~ぐらいにしか思っておらず
「はいはい、頑張ってね」と適当に流していました。


実は心の中で
 おまえな そう簡単にA大医学部には入れるわけないだろ お母さんがどれだけ勉強したと思ってんの!
とつぶやいていていたのです。


私は高校まで、かなり北の方の人口10万程度の地方都市に育ちました。一応その近辺では進学校と言われるものに通っていましたが、もちろん予備校もないし、参考書がそろった書店すらありません。そこから電車で3時間の県庁所在地にある国立大学を受験する子が多く、A大学を受けるといったら高校の先生にそんなよくわからない大学はやめなさいと言われたほどです。
ですから、Z会の添削だけを頼りに必死で勉強したのです。
部活にも入らず、友人と遊びに行くこともなく、毎日勉強ばかり
それが良かったとは全く思っていないのですが、少なくともあの環境で現役で合格するにはそうするしかなかったのです。


だからつい比べてしまうのでしょうね。
そんな中途半端な勉強の仕方で、医学部に合格するはずがない、なめるなよと
もちろんそんなこと、決して言いませんでしたけど。


でも長男は、中学も高校も野球部に所属して、遅くまで毎日練習。帰ってからはプロ野球観戦(ソフトバンクの大ファンです)
そのあとやっと2階に上がったので勉強するのかと思ったら
弟たちがおりてきて
「兄ちゃんにゲーム横取りされた」
だって。やる気あんのか!


高校に入っても2年生になっても、なんだかこんな調子。
長男の高校は面倒見のいい私立で、学校で駿台や河合塾の模試をやったり、休暇中に講習を開いてくれたり、駿台の講義をネットで受けられるシステムなんかもありました。
至れり尽くせりです。
学校の試験はそれなりの成績を取っていましたが、校外模試は散々な出来だったと思います。


私は子ども達に、医学部受験や医師になることを勧めたことはありません。
勧めたからって行く気になるものでもないし、実際医師という仕事は周りが思うほどは条件のいい仕事ではないからです。
体力的にも大変だし、精神的なストレスも相当なものです。学校の成績がいいからとか、将来安心だからという理由だけで医師になると、現実は厳しい。特に医学部は入ってしまうと医師になるしか道はないので、医者になりたいという強い気持ちがなければ行くべきではないと思います。
これからは医師の数が増えてくるので、免許があるというだけではだめで、一生勉強したり技術を身につけていかないと通用しないよ


こんな話をよくしていました。
まあその前に、成績が良くないのでもとから医学部受験なんて考えることもないよなあ
とも思っていましたが。

センター利用ってやつは

センター利用入試 ご存知ですね。受験生ならみんな知っていますね。
でも、少なくても私の頃はこんなものはなかった
ボーダーっていうのがあるんだけど、年によっても違うそうで、東進とか駿台とか差があってよくわからない。とってもフクザツ。
医学部の場合はほとんど関係ないので、我が家の場合完全なすべり止めとして利用します


でなぜか、長男は理科大の応用生物に出願。もちろんセンター利用の出願はセンター試験の前日まで。強気の長男は「他は行く気ないから」と理科大以外は出願しないという。あとはこれもなぜだか早稲田の先進理工の一般受験(センター利用はありません)に出願しました。
こっそりボーダーを調べたら、理科大はセンター83%だった。えーそんなに高いの、もし取れなかったらどうすんだよと心で思っても、子どもの自主性尊重という宗教に形だけ染まっている母は、他も受けなさい、MARCHのどれか、ほら明治とか中央は?いい大学だよ!と言いたくても言えず・・・
こっそり、中央の理工学部に出願してしまいました。もちろん願書は私が書いたの~
ここがセンター利用の悩ましいところだよね、だって本人が行かなくても受験ができちゃうんだもの


案の定、センター80%の長男は、理科大は不合格
こっそり受けた中央は合格でしたが、本人に内緒なので喜ぶわけにもいかず、届いた合格証書はすぐ隠し・・・何やってんだか
私一人の精神安定剤の役割しかなりませんでした


受験がすべて終わって、あとで笑い話のついでにこの話をしたら、長男は「あー知ってたよ。合格通知見たから。何こそこそやってんだって思ったけど」だって


あらそう、でももとはと言えば心配させるおまえが悪い!と心の中でつぶやいた。